あえてけなすような表現を採用したフォルクスワーゲンの広告は、一見、へりくだったかのようにみせて、なかなかどうして、自社の製品の個性と特徴を、あますところなく表現し訴求していた。
もともと、セミ・クラシックなスタイルのフォルクスワーゲン・ビートルの愛用老は、最新型のビューティフル・カーとは対極のところに自動車の価値を認めている人が多い、と読んだこの広告は、流行社会のなかでは"欠点"としか思われない特徴を、ずばりと打ち出してみごとに成功したといってよさそうだ。
欠点という"禍い"も、ちょっと発想を変えて考えてみるだけで、いくらでも"いい考え"を生む"福"に転じることができるのである。
宗松潤一郎(インテリアプランナー)