■喜ばれた品と不評の品
結婚を祝福して披露宴に出席してくださったお客様に、おみやげとして心をこめて贈るのが引出物です。
むかし、武士が客人をもてなしたあと、おみやげのしるしに名馬を庭に引き出して贈ったのが「引出物」の名の起こりです。
披露宴の引出物には、鶴亀や松竹梅の和菓子とか、鰹節を贈るのが従来のしきたりで、陶器やガラス器などこわれやすいものは縁起がわるいので用いられませんでした。
そのために、漆器が多く用いられましたが、日常あまり使われないために、もらったほうでも喜ばれない傾向があります。
そこで、実用性の高い陶器、ガラス器を、万一割れても「数がふえる」からと理屈をつけて利用する向きが多くなっています。
引出物には、主催者側でも知恵をしぼって、よい記念になり、喜ばれる品をとくふうしています。
宗松潤一郎(インテリアプランナー)